潜在的な住み替えの希望者は4割、という記事を書きましたが、では実際に住み替えを行った人は、現在の暮らしにどれくらい満足しているのでしょうか?
少し古いデータになってしまうのですが、三井不動産リアルティ(株)が平成25年に行った調査からその実態を見てみましょう。

調査は平成25年8月23~26日にインターネットによって行われました。
調査対象となったのは首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)、関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)、中部圏(愛知県)の計3エリア在住で、定年(老)後のシニアライフに向け、50歳以降に

・持ち家→持ち家の住み替えを行った260人(男女130人ずつ)
・大規模リフォームを行った261人(男性130人、女性131人)

の、計521人です。



まず、現在の住まいに「満足」と回答した人の割合は

・持ち家→持ち家=90.3%
・大規模リフォーム=86.9%

となっており、最も「満足」の回答が多かったのが中古マンションへの住み替えを行った人でした。

また、リフォームではなく住み替えを行った人にその理由を尋ねたところ、「買い物や病院など、生活の利便性の高いところに住みたかったから」(31.5%)が、2位の「より広い住まいに住みたかったから」(20.4%)に10ポイント以上の差をつけ、トップに。
初めてマイホームを購入する時は、まだまだ働き盛りの事が多く、自分の体が衰えていく事は想像しにくいですよね。
少しくらい駅から離れていても、子供が育ちやすい環境であればそちらを優先する事が多く、通勤などは自分が頑張れば問題なし!と考えた方も多いのではないでしょうか。

しかし、年齢と共に体が衰えてくると、以前は自分が頑張ればカバーできた「不便」をだんだんカバーできなくなってゆくという現実があります。
以前はなんてことなかった階段の上り下り、広い部屋の掃除なども億劫になっていく中、ワンフロアのマンションへ住み替えた人はその便利さに感動するのかもしれません。

調査を行った三井不動産リアルティ(株)も、「年齢を重ねたシニアほど、利便性の高い立地に加え、管理のしやすいマンションへ住み替えや子どもの近くなど、体力の衰えるシニアライフをより意識した選択となっていることが分かった」と結論付けています。



昔は老後のイメージというと縁側で夫婦でお茶をすする、というものでしたが、あのお庭や家全てを縁側でのんびりお茶を飲む事が可能なくらいきちんと管理をしようと思うと体力的になかなか厳しいものがある、というのが現実なのではないでしょうか。
今後、人々の「老後」や「住居」に関するイメージは変わり続けていくはずです。
もしかしたら10年、20年後には「老後」は便利なマンションで快適に暮らすことが主流になり、縁側でお茶をすするというイメージは、まるで昔話のように感じられるようになっているかもしれませんね。

(via 不動産ジャパン)